このテーマもやっと最終回になりました。
まるで著作権の世界へ旅行したような3週間でした。
それでは、JASRACと著作権が大きく話題になったニュースから。
音楽教室から著作権料を徴収

大手の楽器会社などが結成した「音楽教育を守る会」は先頭に立ち、懸命に反対を主張。
56万人にも及ぶ署名と117万人の異議
判決はまだ出ていませんが、文化庁による徴収は認める裁定が出て、2018年から著作権料徴収が開始されています。(僕も含め勘違いしてる方が多いですが、まだ敗訴してません)
日本全国の音楽関連の先生達や楽器店だけでなく、権利者であるアーティストや作詞家、たくさんの一般利用者が今も尚反対しています。
その理由としては、「音楽教育から著作権料を取るのは行き過ぎた行為」から始まり、非常に読みやすい論説を公開しているサイトがあるので、一番下にリンク貼っておきます。
色々と正論がありますが過去の裁判で似たような判例があり、裁判っていうのはとにかく判例が強いってことも大きく影響しているようです。
そして、前回
「この件では他で聞かれない大きな情報が一つ抜けています。」
と書きましたが、JASRACのいう音楽教室とは
楽器メーカーや楽器を販売している会社が経営している音楽教室
です。
なので今のところ学校や個人店などの音楽教室からの徴収はありません。
この騒動がもう少し落ち着いたら、学校などからも徴収していこうとしてるのではとの意見もよく耳にします。。。
ちなみに、アメリカでも音楽教室から著作権料が徴収されているようです。
(JASRACより随分お安いようですが、、、)
海外の著作権事情を考慮するならフェアユースも認められるべき!
フェアユース

アメリカの著作権法107条
by ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/フェアユース
著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準のもとで公正な利用(フェアユース)に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない。
その4つとは、
- 「利用の目的と性格」
- 「著作権のある著作物の性質」
- 「著作物全体との関係における利用された部分の量及び重要性」
- 「著作物の潜在的利用又は価値に対する利用の及ぼす影響」
この法律のおかげで「YOUTUBE」が著作権違反を退け動画のアップロードと視聴が盛り上がり、世界一の動画サイトになったと言っても過言ではありません。
(最近広告が長いですね、、、)
そして、それは「GOOGLE」検索エンジンにも言えることで、本を見つけるときの全文検索機能などは「フェアユース」で勝ち取りました。
(反発も多いかったそうですが、売り上げからの税金はアメリカ経済に大きな利益をもたらしていることでしょう)
フェアユースはお隣、韓国や台湾など、イギリスはフェアディーリングという似たような法律があります。
日本が世界から遅れをとっている大きな理由の一つが、この厳しい「著作権法」だったのかもしれません。
ちなみに「同人誌販売」はアウトで賠償金を払った方もいるそうですが、これによる文化の発展や原作者も間接的な恩恵を受けることが多く、また、著作権侵害は『親告罪』ということで原作者が訴えなければ裁判にならず、厳しく規制してないようです。
日本版フェアユース(暗黙の了解?)といったところでしょうか。
「およげ!たいやきくん」の子門真人さんの印税
ちなみに「およげ!たいやきくん」の主題歌を歌った子門真人さん。
ご存知の方も多いと思いますが、455万枚のセールスでいくらもらったのでしょうか??
買い取り契約だったためたったの5万円。。。
(のちにレコード会社から100万円と白いギターが送られたそうです)
また、著作権料徴収のため様々な活動をしているようですが、執念の
「2年間主婦と偽った音楽教室調査!」
について日経ビジネスの記事があるのでそれも一番下にリンク貼っておきます。
と、まあここまでなかなかJASRACの正当性を解説、説明したものが見つからず少し偏ってしまいすいません。
一つ、すごく丁寧に著作権について解説されている職員さんの記事がありました。
フリーペーパやオンラインで音楽記事など発行、掲載してるDIGIRECOさんのインタビューです。
https://digireco.com/jasrac-interview2018/
Q5は2018年12月から海外に合わせ70年に変更。
Q10のストリート演奏での著作権料金発生しないのは他の事例を見るとかなり配慮ある寛大な考え方。
他に、よく自分の曲が使われたのに印税が入らないというニュースがありますが、救済措置と言って
- 楽曲名
- 作詞者指名
- 作曲者指名
- 放送局
- 番組名
- 放送日
を記入して申請すると確認後使用料を分配してくれるそうです。
そう言えば以前僕がやっていたバンドはJASRACに著作権登録していましたが、何度もライブしたのにまだ1円も印税が入ってきてません。→もうレーベルなくなってるし!?
そのころはライブするたび著作権料入るなんて知らなかったんで、登録しているのに印税収入がないアーティストさんがいたら、申請手続きや調査が大変かもしれませんがぜひやってみください!
「改正著作権法」

2019年1月から施行されることになった「改正著作権法」において、従来よりも柔軟な著作物の利用が認められることになりました。
改正されたもののうち、今回の訴訟に関連しそうなのが、第30条の4の
「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」
これにより
「音楽教室で演奏したり聴くのは思想又は感情の享受ではなく勉強のため」
という理由がつけられるので「音楽教育を守る会」に追い風が吹きそうです。
JASRACと協力し著作権を守り、文化の発展に寄与できるようになればいいですが。
まとめ
長文読んでもらってありがとうございました。
なんとなく音楽著作権知るきっかけになったら嬉しいです。
現実的になかなか解決が難しい著作権問題。
今回色々調べて、一つ具体的な和解案があります。
それは
月額の著作金徴収で権利者不明の場合、ランダムで統計をとって、その傾向によりアーティストたちに徴収金を分配する、サンプリング方式があります。
この分配先を、
「印税を十分もらっているアーティスト」
ではなく
「著作権料を払っているすべての人」
へ還元できたらもっと「音楽文化の発展に寄与」することにも繋がると思いますがどうでしょう??
音楽に携わる全ての人が不安なく音楽を楽しみ、アーティストは音楽に集中できる環境ができるよう、これからも協力できれば何より嬉しいです。
「2年間主婦と偽った音楽教室調査!」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00030/
著作権集中管理団体の功罪をめぐる論争についてhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/72119